「友達5000人芸人」カラテカ入江氏に聞く人脈形成の極意

人脈がうまく築けず仕事が広がらない、取引先との関係が一歩踏み込めない、なかなか営業がうまくいかない…。こうした悩みを抱える人は、一般のビジネスマンにも多いはず。そんな人たちに、ぜひ参考にしてほしいのが、お笑いコンビ・カラテカの入江慎也氏の人脈術だ。

金もなく、肩書きなどの武器もない。そんな何の取り柄もない一般人でも、人脈を築くことはできる――。入江氏の語る人脈形成のコツとは?


初対面の人と会うときの大事な心がけは

キレイな靴と、前に出すぎないバランス感覚

「人脈は宝」といわれるように、ビジネスマンが仕事を広げていく上で大きな武器になるのが、その人の持つ人脈だ。なんの仕事をしていようと、人脈のある人と、ない人では仕事の広がり方や、大きな仕事のチャンスに恵まれる機会が、まったく違ってくるからだ。中堅ビジネスマンはもちろん、特に若手ビジネスマンにとっては、これから築く人脈が、今後の人生を大きく左右するといっても過言ではないだろう。


「友達5000人芸人」として知られる入江氏のもとには、人間関係に関する相談が多数寄せられ、近年ではそのノウハウを生かして、たて続けに本を出版したり、イベントや交流会を開催したりしている。

 とはいえ、人脈というものは意識的に築こうと思って築けるものでもないし、あまり躍起になりすぎれば相手に警戒されるのがオチ。初対面の人と会う上で注意すべきポイントなどはあるのだろうか?

「まず服装に関しては、何よりも清潔感のある格好がマスト。僕が後輩にいつも言うのは、『売れていなくても、靴だけはキレイな靴を履いて、オシャレにしとけ』ってこと。そうじゃないと、なめられるぞと。特に、『あの先輩、金ないんだな』って思われちゃうと、売れてる後輩になめられますから。時計はしなくてもいいと思いますが、靴だけは別。高い靴じゃなくてもいいので、踵がすり減っていない、キレイな靴を履くべきです」

 確かに、昔から「靴は人を表す」といわれる。これから良い関係を築こうとしている相手に、靴が与える印象は少なくないかもしれない。

「もうひとつが、僕自身もずっとテーマにしている『バランス感覚』です。具体的には、『(前に)出すぎない』ということなんですが、上に上がっていく人は皆、このバランス感覚が優れてますね。たとえば、僕が今田(耕司)さんや、鈴木おさむさんを紹介しても、バランス感覚がしっかりしている人は、いきなり名刺を渡さないんです。一言、僕に『入江さん、お名刺渡していいですかね?』と断りを入れてから、『すみません』といって渡す。こういう人は、グッと好感度が上がりますよね」


TwitterやFacebookの活用術と

NGシーンを知っておこう

    自分よりも遙かにキャリアのある先輩や、普段は接することのない他社や他業種の社長クラスとつながれる機会は、若手ビジネスマンにとっては、自分の可能性の幅を広げる大きなチャンスだ。だが、幸運にも、そうした人たちと繋がれたからといって、そこで気を抜いてはいけない。

 相手に気に入られなければ、こちらは「知り合ったうちの、ひとり」でしかないからだ。逆に、相手に気に入られることができれば、向こうから何かの機会に呼んでもらえることもあるだろう。繋がってからのやり取りにおける、相手に好かれるための心がけなどはあるのだろうか?

「この人に気に入られたい!と思ったら、とにかくマメになることですよね。お礼のメールなりLINEをするのはもちろん、TwitterやFacebookをこまめにチェックする。相手のことをより深く知ろうとする姿勢は大切だと思います。

SNSをうまく活用する事は大切だが、NGな場面も...。細やかな気遣いを見せるのが入江流だ


それと、僕が見てきた感じでは、地位や立場が上の人ほど、後輩や年下の人間から誘われなくなるから、逆に飛び込んでくるヤツのことが好きなんですよ。僕らの世界でいえば、今田さんや宮迫さんクラスの先輩になると気軽に誘えないんですけど、他ジャンルの人は飛び込んでいってるんです。ある若い役者さんは、『兄さん、ご飯行きましょうよー』みたいなノリで今田さんをよく誘っていて、僕らから見ると、『よく気軽に今田さんに連絡できるな~…』って感じなんですけど、当の今田さんは嬉しそうなんですよ。だから、ビジネスシーンでも、社長クラスの人なら、若い人に『社長、ご飯連れてってください』と言われて、喜ばない人はいないと思うんですよね」

 自分より立場が上の人とご飯に行けたとして、まだ気を抜いてはいけない。その後も注意すべきポイントがある。

「僕個人の意見としては、TwitterやFacebook上で、人にお礼をするのはどうかと思うんですよ。僕が年下の誰かとご飯に行って、そこは奢ってあげたとするじゃないですか。そのことに対して、ツイッター上で『入江さん、今日はごちそうさまでした!』とか言われても、この人は真面目にお礼が言いたいのか、自分のフォロワーに僕との関係をアピールしたいだけなのか、真意をはかりかねるというか…。ちゃんとお礼をしたいのであれば、メールなりLINEでお礼すべきですよね」

 もしかするとSNS上で、何かのお礼をしたことがある人は意外と多いのではないだろうか。自分では何の気なしにやっていても、相手は微妙に感じていることもある。そんなことを再認識させてくれる、まさに入江氏ならではの細やかな視点といえる。

「補足ですが、目上の人に対して『今度、ご飯連れてってください』が通用するのは、せいぜいこちらが30代中盤くらいまで。さすがに、40歳を過ぎた人が『ご飯連れてってください』では厳しい。40歳を過ぎたら、若手から来られる側にならなきゃいけないですね」

 立場が上の人への「今度、ご飯連れてってください!」は、若いからこそ使える特権でもあるのだ。


金もない、ストロングポイントもない

そんな人でも闘える唯一の方法


 また、人脈を広げていく上では、誰かを通して人を紹介してもらうというケースもあるだろう。この場合は、紹介する側に「その人を紹介する相応の理由」がなければ、紹介者にとっても、紹介される側にとってもメリットがない。つまり、人を紹介してもらうには、それに値する何かを持ち合わせている必要がある。

「もし、僕が今田さんや宮迫さんに誰かを紹介するとなったら、その人に何か1コ武器になるものがないと厳しいと思うんですよ。たとえば、『この人、すごい美味いメシ屋知ってるんですよ』っていったら、今田さんも宮迫さんも食通だから、『そうなんや~』って会いたくなると思うんですよ。『お姉ちゃん、すごい呼べるんですよ』でもいいですよね。要するに、何かしらの“ストロングポイント”がないと、大人の世界で人を紹介してもらうのは難しいですよね」

「僕は毎年夏に、鈴木おさむさんと、大人数でバーベキューをやっているんですけど、その場に呼ぶメンバーは、芸人だろうと、一般の方だろうと、僕の独断と偏見で呼べるんです。で、僕がそこに呼ぶ人たちというのは、やっぱり『何か持ってる人』なんですよね」

 何も持たざる者が、自分にとってメリットのある誰かを簡単に紹介してもらえるほど、大人の世界は甘くないのだ。

 とはいえ、「芸人」という肩書のある入江氏と違って、我々一般人が持てる武器など、たかが知れている。まして、レベルの高い人と付き合おうと思えば、それなりにお金だってかかる。しかし、入江氏は「金もない、武器もない。そんな人でも闘う方法はある」という。

「やっぱりレベルの高い人と付き合うと、その分、お金もかかるんですよ。僕が見ていても、上に上がっていく人たちは、身銭を切って、金を遣っていますから。でも、お金がなくても、本気で『この人とつながりたい!』と思ったら、その人のために時間をかけることはできるじゃないですか」

「具体的に言えば、鈴木おさむさんと仕事で向き合いたいと思う人がいたら、まず、おさむさんの本を全部読む。ブログを毎日観る。そういうことをして、おさむさんに、めっちゃ詳しくなったら、そこからは僕がつなげることもできる。『おさむさんのこと、ちょー好きなんですよ、この人!』って。自分にすごい詳しいヤツがいたら、誰だって会いたがりますよ。ただ、本気で詳しくないとダメです。中途半端な人がいちばんこわいんで(苦笑)」

 話を聞いているだけでも、人脈を築くことの大変さが伝わってくるが、入江氏ほどの人脈があれば、さぞかし人生の幅は広がることだろう。…と思いきや、入江氏には入江氏なりの悩みもあるらしい。

「いろんな人と会えば会うほど、トップレベルの人たちの多様な意見が入ってくるから、何がベストなのか、何が楽しいことなのか、わからなくなってくるんです…。いろんな人の話を聞き過ぎると、かえって迷うところはありますね」

 ある意味、入江氏レベルならではの贅沢な悩みともいえそうだが、人脈はないよりあったほうが、その人の人生を豊かにしてくれるのは確か。最後に、これから人脈づくりに励もうとしている人に必要な最初の一歩は?と聞くと、こんな答えが返ってきた。

「とにかく出かけること。これに尽きます。休みの日だからといってルーティンで家にいないで、誰かに会いに、外に出る。リスクもあるかもしれないですけど、それを続けていれば絶対に何かが変わります!」

 結局、人脈を築けるか、築けないか。それはあなたの心がけ次第なのかもしれない。


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